▼ 2010/08/27(金) 2010-08-27
リフレ(とよばれる金融緩和)が需要を生み出すのは、金利低下等により「貯蓄より消費を有利にする」ことによる消費増、「投資しやすくする」ことによる投資増があるから。これが所得の拡大を生み、……という話。けど、こういうメカニズムはもちろんあるけど、それはどの程度の大きさなの?という問題。
消費行動も投資行動も金利だけでは決まらない。もちろん、実質金利(金利とインフレ期待)だけで決まるわけでもない。発展途上の社会と違い、現代日本では、購買力のある層は生活に必要な資本をほとんど持ってる。そもそも、消費が貯蓄より有利として、一体何を買うの?という話。中間層以上でありうるニーズというのは、どうでもよい贅沢品需要でなければ、「現在水準の生活の保障」。実物経済的要因では、消費が増える要素はないし、ゆえに、投資が増える要素もないことになる。
だから、金利が安くなったとしても、インフレ期待が生じたとしても、直接消費行動に向かう動機は小さいと考えられる。今の生活を将来にわたっても続けたい、と考えるなら、(利回りの悪さに文句をいいつつ)貯蓄するし、あるいは、保険商品とか利回りのよい金融商品とかにお金は向かう。一方、金があれば実際に財やサービスを買うであろう層には金がない。だから、リフレで直接に増える消費は比較的小さいと思われる。そして、消費が増えないなら、投資が増えるはずもない。
かくして消費も投資も、リフレ直接の効果としてはたいして増えるとは思えない。では、どうして2005年あたりから景気回復したか。金融緩和で追加された流動性が株や土地に流れ込み、それらの価格を押し上げた。これがバブル。それで金持ちになった人たちが、増えた資産の一部を消費したため。つまりは、バブル経由の脆弱な需要でしかなかったということ。バブルがはじけて消滅し、また、その消滅のショックが一層消費・投資を冷え込ませることになった。同じことをもう一回やれ、というなら、はなはだ無責任でしょう。
ちなみに、ここでの資産価格の上昇は、実物要因に関係なく、金融要因のみによるものとなる。もちろん、「どの」資産の価格があがるか(土地か株か資源か通貨か)はその都度の実物要因も加味されるが、全体としての資産価格上昇は金融要因しか働いてない。つまり、バブル以外ではありえない。どの資産における価格上昇がバブルなのかはわからんとしても、資産価格全体の上昇傾向を見てもバブルかどうかわからないというのは、理解できない。*1
なので、そもそも「リフレと再分配を別々に考える」ってこと自体が、どこか重大な見落としがあるのではないかと考えるべき。実質金利低下の効果が実物レベルの「買う物ない」「将来不安」の効果より大きいかどうかが問題なのに、効果の有無の話だけで満足している。これは本当に変。
*1 : さらに「ちなみに」の話をすれば、「ある資産の価格」と「資産価格全体の趨勢」の違いは、リフレ派がたびたび強調する「価格」と「物価」の違いに対応する。
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